頑張って勉強して国家資格を取って、安い月給でこき使われて、夜勤で身体ボロボロにしてるってのに『将来、臨床検査技師の需要がなくなるかもしれないの?ふざけないでよ!』
って思う人に読んでほしい臨床検査技師の未来についての考察記事です
医療業界自体の未来は明るい
日本は今後も少子高齢化が進み、医療の需要右肩上がりに伸びていきます
独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表した「2017年労働力需給の推計」によると、2030年に医療・介護業界の就業者は製造業、卸売・小売業を抜くと予想されています
つまり、業界全体で見れば、医療業界は日本経済を左右する重要な産業になることはほぼ間違いないなくて、景気の影響を受けにくい安定した業界に見えるかもしれません
しかし、臨床検査技師の仕事はどうかと言われると実はそうでもないのです
臨床検査技師の需要は医療機器のAI化で激減する?
かつて病院に検査機器が導入される以前、全ての検査は人の手を使っていたため一つ一つの検査に膨大な時間がかかり多くの人手を必要としていました
しかし近年、高度な検査機器が導入された背景もあり、臨床検査技師の業務は軽減傾向にあります
でも私たち現場の臨床検査技師はこう思っているはずです
『え?これで業務量軽減とか何言っちゃってんの?』
『余裕で毎日目が回るくらい忙しいですけど?!』
と。
なぜ業務量は軽減されたはずなのにこんなに毎日めまぐるしく働かなくてはならないのか、その理由はたった一つです
検査室1つあたりの臨床検査技師数が減っている
業務量が軽減された分、便利になったのに、私たち臨床検査技師の仕事はずっと忙しい
その理由は病院の検査室1つあたりの臨床検査技師の数が減少傾向にあるからです
簡単に言えば人件費にしわ寄せが来ているという事です
利益を追求し、現場を顧みりない経営者の意向に見えますが、人件費の削減は、ある意味経営者側からしたら当然の選択かもしれません
今後も機械の自動化やAI化が進めば進むほど人件費は削減されていく、つまり、臨床検査技師の需要は減っていく可能性が非常に高いと言えるかもしれませんね
なのに臨床検査技師一人あたりの仕事量は増えていく
というか、私が言いたいのは『実際には臨床検査技師の仕事量は減っていない』ということ。
たしかに検査機器の導入で検査業務自体は簡略化されましたが、採血以外の検体採取業務(鼻腔・口腔)や従来看護師がやっていた病棟業務を兼任する傾向も強まっているからです
今まではあまりなかった臨床検査技師が直接患者と関わっていくコメディカル医療の考えは今後も浸透していくでしょうし臨床検査技師の仕事量は今後も増えていくかもしれません
いや本当給料もう少しあげてほしいって2年間で1200回くらい思いました
今後の臨床検査技師に求められるのは?
臨床検査技師の仕事自体、部門ごとに業務は全く違います
配置換えや部署移動の度に新人になった気持ちで一から勉強しなければならない修羅の職業で全てを完璧にこなしている人を私は今までに見たことがありません
なので、今後は『これだけは誰にも負けないという専門性を持つ人材』が重要になってくると思います
超音波検査士や細胞検査士といった上級資格の取得も役に立つでしょう
機械化や自動化が進み、臨床検査技師の求人数自体は減少傾向に向かっていくと思いますが、専門性を高めることで現場で活躍できる人材になるのです
それに、スペシャリストになるという事は実は他にもメリットがあるのです
臨床検査技師以外で働くという選択肢
臨床検査技師自体の数は減っていくかもしれませんが、臨床検査技師が活躍できるのは、なにも病院の検査室だけではありません
新薬や医療機器の安全性を確認する『治験コーディネーター』や、医療機器メーカーで医療機器販売のサポートをする『アプリケーションスペシャリスト』として活躍する臨床検査技師も多いです
治験コーディネーターと聞くと『それって元看護師とか元薬剤師の人がなるもんじゃないの?』と思う人もいるかもしれませんが、私たち臨床検査技師は薬が人体に与える検査値変動を読み取り正確に伝える知識があるので企業から重宝されます
アプリケーションスペシャリストは、医療機関で医療機器の製品説明や操作説明をして営業をサポートする事が主な仕事です。企業によっては英語力が必要な場合もありますが、病院勤務で得た臨床知識の知識が非常に役に立ちます。
このように臨床検査技師が活躍できる場所は、なにも病院の中だけではないのです。
医療機器の自動化が近づく現在、私たちがやるべきことは、経験を積み専門性を高めて選択肢を広げる事です
臨床検査技師の需要がなくなる=どんづまりでは全くありません
悲観せず、今出来る事を愚直にやっていきましょう